森の貴婦人を求めて ~猟師岳 オオヤマレンゲ~

午前8時40分 まだ牧ノ戸の駐車場に居た 星生山から下りてきてリュックを下ろし
トイレに行ったりしていた 次の山に行くため 杖と靴はそのままの状態だ

水分補給して車を移動させる 駐車場から溢れた車が路駐しているので
スペースを空けてあげないと 一般の交通に支障が出る

以前 すがもり越え経由し 大曲から牧ノ戸峠に車道を通って戻ったことがあった
この辺りは歩道の無い道なので 歩行者にはつらい道路である
路駐がなければ車道の脇の草地を歩けはするが 車が邪魔で車道を歩かざるをえない
車道は自動車のものとばかり 一般の車は猛スピードで駆け抜ける
路駐とは 歩行者にとって非常に迷惑なことなのだと その時思い知らされたものだ

そういう人も好きで路駐しているわけではなく 路駐を少しでも緩和できればと
駐車場を出る間際に 登山者らしき人が路駐していたので一枠空いたことを伝え そこを出た
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星生山の次に登った山は 猟師山 牧ノ戸峠から約1kmの所に登山口がある
その登山口の近く 道路脇が広くなっていて 十分な駐車スペースが確保されている
くじゅう連山に登る人たちも ここに止めて歩く人もいる
牧ノ戸に近いとはいえ 1km前後の距離がある ご苦労なことだ

さて リュックの中身を整理して無駄なものは置いていく
ダウンや雨具はリュックから抜いて 三脚も不要と車に置いて行く
取りあえず水分は必要ということで スポーツドリンクと チョコレートを残す
他には救急用品と カメラと 予備のバッテリー これでOK

8時47分 道路脇の登山口から入って行く ここの山も初めて登る
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ここを選んだのは 何度も登山口を見ていて 登ってみたかったのと
もうひとつ オオヤマレンゲという花を 一度見てみたかったからだ

その花がここで見ることができる 咲いている場所も 事前に調べておいた
ここはどんな感じの山なんだろう? 登山道の路面状態も気になるところだ
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少し前に 熟年の女性2名が登って行ってた 準備している間に他の車も止まる
気付かなかっただけで 意外と ここを登る人って居るんだと言うことに気づく

さて 登山道は一旦樹林帯に入り 雑木の中を抜けて行く
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周囲の笹も丈が短く 道路幅は狭いけれど 緩やかな傾斜で泥濘もない
人通りも少なく とても歩きやすい 息が上がらない程度に進んで行く

8時54分 雑木の中を抜けて明るくなった この後も少しは木々があるものの
殆ど露天の下を歩く 草原というか 高原を歩く感じは とても心地よい

先に登って行ってた女性たちが見えてきた その二人には この先で追いついた
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こちらからの景色ってどんなだろう? そう思いながら振り返ると なかなかのもの
三俣山 星生山 扇ヶ鼻がもごとに広がって見える 遠くから眺めるのもいいものだ
それにしても 数時間前には あの中央にある尖った部分に居たとは思えない
ここは「ごうとうさん」の分岐 強盗さんではない 後藤さんとも違う 合頭山だ
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少し進むと 向こうから男性がやってきた 「こんにちは」と挨拶した
続けて 「オオヤマレンゲって咲いてました?」 と聞くと 『少し咲いてたよ』とのこと
地の利の無い自分には ネットで見た知識だけ… 「林道のとこですよね」
『うん そこに咲いてたよ』 「ありがとうございました」 もう咲いてるんだ
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暫く行くと 猟師岳から一人で下りて来る人の姿が見えた ゆっくり下っている
近づいてみると 30代くらいの女性 挨拶をしてオオヤマレンゲについて聞いてみると
『オオヤマレンゲが咲いてるって聞いてきたんだけど 何処にも見当たらないんです』という
「林道の所にあるらしいですよ」というと 『それってどの辺りです?』とのこと
場所を教えると 車で林道の方に行って そこから登てみるといって分れた

9時10分 スキー場分岐があった これだけしっかりした標識や
登山道の踏み跡があれば まず迷うことはない この時どちらから回ろうかという
迷いはあったものの 最初に猟師岳に登って そこから下った方が楽だろうと思い
なだらかなスロープを 頂上目指し登って行った
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空はそれなりに明るく感じるが 雲が立ち込めていて 太陽の位置が分からない
ちょっと天候に不安を感じながらも 天気予報を信じ 先へ進む
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9時21分 猟師岳山頂 標柱には「猟師岳」 下の表示は「猟師山」 どちらが正しいのだろう?
国土地理院の地図には「猟師山」と記載されている どちらでもいいが はっきりもさせたい
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山頂付近はミヤマキリシマの株が沢山あって 先月末は見事に咲いていたらしい
虫の被害もなかったらしく そのころ此処に来れたらどんなに奇麗だったろうと思う
霞んでなければ 阿蘇の五岳が奇麗に見えるはず 来年また来てみよう

9時26分 下り始めると 樹高が高くなる 此処からは林の中の道を歩く
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踏み跡はしっかりしているが この辺り特有の黒土の道 湿った路面は滑りやすい
こういうときは 少し草の部分を踏みながら歩くと 意外と滑らずに済む
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9時46分 林道に到着 林道から猟師岳への登山道への入り口 此処も滑りやすかった
頂上から下りで20分だが 登るとなるともう少し時間がかかりそう この日多くの人とすれ違った
道が狭いだけに すれ違う時は道を譲り合わなければならず 時間のロスは増えるはず
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林道には沢山の人が居て 所々に集まっていた どうやらそこにオオヤマレンゲがあるらしい
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あった! これがオオヤマレンゲ 真っ白な奇麗な花 「森の貴婦人」とも呼ばれる花
沢山の花がついているわけではないが その色と形 貴婦人の名にふさわしい
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この花の匂いが フルーティーだと聞いた どんなだろう?
花が少し高い位置にあり 人も多いため臭いを確かめることはできない

それでも少し時間が経つと それぞれが次の場所に移動し始め チャンスが到来
その香りは 何とも甘い 良い香りだ 表現が乏しく伝わらないと思うが
何かの花の匂いにも似ているように思えるが 強すぎず 弱すぎず 良い香りだった
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これは蕾 先の尖った面白い形をしている 一見して蕾とは思えぬ形
なんだか 繭に似てて面白い 
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さて 林道からスキー場へと続く道を探す うさぎコースと かめコースがあるらしい
9時53分 すぐ近くにうさぎコースの入り口があったので こちらから森に入って行く
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踏み跡が分かる このまま辿って行けば スキー場に着く
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しかし途中に 苔生した岩場があって 踏み跡が分かり辛いところも…
周囲を見わたしながら 道を確認し 足を滑らさないように歩く
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うさぎコースに入って3分の所に かめコースとの分岐があった
かめコースがどう行けばよいのか分からなかったが 取りあえず下って行く
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更に3分程進むと スキー場を示す道標に出会う この方向で間違いはなさそうだ
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スキー場の看板から更に5分で 第一リフトの終点に到着 はて?これからどう行けばいいのか
周囲を見渡しても それらしい散策路は見当たらない う~んどうしよう 先ずはスマホで確認
スキー場から猟師岳の分岐に行くには… リストの頂上の所から入る道がある… って
今出てきたところ以外に 道はなく 途中に分岐らしき場所はあったけど それは違うっぽいし…
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スキー場はシーズンオフ それでも下の方にある駐車場には 沢山の車が止まっていた
その理由は 駐車場からゲレンデを歩いて登る リュックを背負った人が こっちに向かって
歩いて来る姿を見て理解できた 花を求める人たちだ 自分はここで地図を調べていたが
道が分からず この場にいることが 分かるはずもないのに なぜか恥ずかしく思えた
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スマホで調べていると ナビの地図には最上段のリフトの記載がなく 実際にはもう一つ上に
別のリフトがあって その最上部に行かなくてはいけないことに気付いたのが 10時8分
さっき出てきたリフトの傍の出入口から 平らになったゲレンデを中央付近まで移動した
そこにアスファルト舗装された作業道があって そこを通って上のリフトの頂上を目指す
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リュックを背負った多くの人は さっき出てきた道の方に向かっている 定番のコースらしい
自分はというと この舗装路を歩いて登る 取りあえず右の林の奥にあるリフトの頂上
そこを目指して進むだけ でも本当にこの舗装路を辿って行けばいいのか とても不安だ

途中に小さな道標があった 猟師岳シャクナゲ谷 たぶんこの散策路が 途中でみた分岐
そこと繋がっているのだろう 今度機会があればこっちに抜けてみよう 今回はパス
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コンクリート舗装の道が 上の方に延びている たぶんこっちだろうと そちらに向けて歩きだす
取りあえず頂上に向けて歩けば何とかなる 頂上に何もなければ戻ればいい
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途中にあった小さな道標 山頂イノシシ号コース? かめやウサギに対抗した名前なのだろうか?
だとしたら この道で間違いはない 何となく落ち着く要素があってよかった 先を急ごう
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なだらかな作業道を いつの間にかこんなにも登って来ていた もう少しで頂上だ
下の緑の薄いゲレンデの手前の方から登っている ゲレンデを登り始めて8分の地点
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更に登ると頂上に着いた 此処でコンクリートの舗装がなくなる 10時23分だった
近くにリフトの最上部がある この付近に猟師岳に続く道があるはず 周囲を見わたすと…
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あった!猟師岳方向に延びた道 間違いない 踏み跡もしっかり付いている
ここを真っ直ぐ進めば あの道標のあった場所に戻れるはず さっさと抜けてしまおう
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そこから入って間もなく ヤマボウシに出会う 公園などで植林されたものは見るが
自然に咲いているのは初めて見る 緑が濃い林では 4枚の白い苞葉がとてもよく目立つ
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多くの人が歩くのだろう 森の中の道よりもしっかりとして見える 戻れると分かると
それまでの不安がなくなり 気持ちが楽になった 道も平たんそうな感じ 足取りが軽くなる
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途中で傾斜が幾分かキツクナル場所があり その横に薄い踏み跡がある
こっちの方が高低差なく行けるのかな? などと楽なのではと思い そっちに進む
踏み跡が薄いということは メジャーでない道 その理由がこれ 急な坂の笹の中を
踏み分けて歩かなくてはならなかった なるほど どちら見似たようなものなのだろう
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結局 本来の分岐の2~30m牧ノ戸寄りの所に出てきた 此処から一旦 駐車場側に戻る
10時31分 スキー場の頂上から8分で 元の登山道に戻ることができた 意外と近い
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猟師岳から林道に下りて スキー場から此処に戻る道は 意外と歩きやすく感じた
逆だと スキー場から結構な高低差を登らなければならず 足元も滑りやすい分
体力を消耗しそうなので こっちのコースがお勧めだ 正面の久住連山に向かって歩き出す
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10時43分 合頭山分岐に到着 直線距離で約500m 行ってみるか!
疲れた体に 気合を入れて 合頭山に向けて歩きだす 向こうにも人影は多い
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途中にマウンドがあって その向こうが合頭山 此処から奇麗に見通せる
アップダウンはあるが そんなにキツイ坂ではない 此処まで来てて行かない理由はない
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分岐の所ですれ違った人たち その向こうのスロープは猟師岳の斜面
確か 人影の見えるその先が スキー場との分岐だったように思う
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合頭山の登山道の途中に シライトソウが咲いていた とても可愛い花だ
この花を初めて見たときは こんな花もあるのかと 驚いたのを覚えている
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これは イブキトラノオ という草花らしい 少し群生していたので撮ってみた
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10時57分 合頭山の山頂に到着 特に何もない山頂
その代わりと言っては何だが 周囲の山はに通し良く見える
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御昼前ということもあって 幾つかのグループが 早い昼を済ませていた
天気が良ければ 最高なのだろうが 少し雲が厚い それでも高原の景色はとてもいい
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11時4分 合頭山から駐車場の方に足を向ける 山歩きとしては物足りないが
ピクニック感覚で歩くには 丁度良い感じの山だった また来た道を戻る
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分岐の所に人だかりができていた スキー場から登ってきた人たちだった
林道で会った顔が沢山いたので すぐに分かった これからスキー場分岐を経て
スキー場の駐車場に戻るのだろう 大勢で動くと 時間も余計にかかる 大変だなぁ

駐車場に戻ったのは11時20分だった 車のロックを解除して テールゲートを開いた瞬間
何の前触れもなく ザー!っと雨が降り出した 助かった ちょうど良かった
天気予報を信じ 雨具を置いて出ていたので 途中で降られたら びしょ濡れだ

自分はたまたま 車に辿り着いたところだったので良かったが まだ山には多くの人が居た
雨具を持っていれば良いが 大丈夫だろうか? そんな心配をしながら帰り仕度をして
車で出たのが11時30分 それにしても疲れた 運転していて 意識が飛びそうになる

一瞬眠りそうになり 危険を感じてパーキングエリアに車を止め 10分程仮眠をとると
再び元気が戻ってきた 50歳過ぎてからというもの 無理が利かなくなってきた
その後は睡魔に襲われることもなく 無事に帰宅できた