霧氷を求めて 初冬のくじゅう連山 ~2015年12月12日~

目覚めたのは午前5時前 真っ暗な空には雲もなく星が見える
風は少しあるようだが 天気は良さそうなので出発の準備をする
お湯を沸かし お茶を水筒に入れ 別にスポーツドリンクを用意
寒いといけないと防寒着もリュックに詰め込み いざ出発!
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真っ暗な道を進む 途中おにぎりとドリップしたコーヒーを買う
土曜日の朝6時過ぎ 工事関係の人のようだが意外と人が多い
薄らと明るくなった空も 徐々に明けて 朝焼けの空の下を車で進む

久住の高原から 雲に隠れたくじゅうの山々を見ながら進む
7時15分頃に牧ノ戸に到着 扇ヶ鼻には既に雲が無い
その扇ヶ鼻の斜面には 霧氷のついた木々が見えた

トイレを済ませ 靴を履いて杖を準備し リュックを担ぐ
3~4人の登山者が登っていく 自分も7時半に登り始めた
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山には低層の雲はあるものの 良く晴れている
日の出は見えなかったかもしれないが いい天気だ
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標高1500m付近の沓掛山の寒暖計 マイナス3度を指している
この辺りは木々に囲まれ 風もないので 歩くと汗ばんでくる
汗をかくと後が大変なので 上着を脱ぎ薄いアンダーシャツだけになる
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木の枝は 夜露で濡れているのと同時に 蜘蛛の糸が凍っていた
凍るか凍らないかの微妙な気温の境目のようだ
そのせいもあって 登山道はぬかるんでいて歩き辛い
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沓掛山の頂上付近まで来ると 霧氷が少し見られた
岩の表面も滑り易く慎重に歩く 少しガスが掛ってきた
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暫く進むと ガスの合間から陽が射しこみ 霧氷を照らす
雫となった水滴と 凍った枝先 甲乙つけがたい輝き
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ガスが晴れてきた 陽が昇り大地が温められる
霧氷は輝きながらも 徐々に溶け始めるイメージ 14

いつの間にかガスは消え 眩い日差しに霧氷が映える
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扇ヶ鼻の北斜面 ミヤマキリシマなどの木々が霧氷で染まる
たぶん帰る頃には見る影もないだろう 行こうか迷うところだが
今日は中岳まで行くことにし 扇ヶ鼻へは寄らなかった
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8時55分星生分岐 星生山の南斜面を望む 空は奇麗に澄んでいる
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西の千里ヶ浜 右の尖った山が久住山 この斜面も白くなっている
まだ冬の走り 先週や先々週には雪も積もったようだが
今日は全く雪の痕跡もない 地面はここまで登ると凍っていた
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それにしても最高の天気になった 空の色が素晴らしい
避難小屋を見下ろす所で左上の岩稜を見上げてみる
今まで気にもとめなかったが この岩稜全体が
右側を頭にした ガラパゴスのゾウガメのようにも見える
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9時10分 久住分れ付近の避難小屋に下りる
此処のトイレは冬季期間中は使用禁止となっている
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霜柱 踏みしめるとザクッザクッっと 心地良い音がする
こんな小さな水の結晶だが とても力が強く岩をも持ち上げ
岩の割れ目で凍ると その岩を割る事さえある
氷が溶けると そうした岩が崩落することがある
この季節 氷が溶ける時間帯は特に注意しておきたい
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久住分れから望む久住山 山肌は岩なので 白く見えるのは
霧氷は張りついた岩肌 俗に言う「エビの尻尾」であろう
それにしてもこの距離から これだけ見えるのだから凄い 
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9時40分 御池 まだ凍っていない 前日の雨で水量も多い
今日は梵字の刻まれた慰霊碑脇を通ることにした
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斜面の上の方は風が強いのか 霧氷が多い
草にも見事に 霧氷が着いている
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これはまた可愛らしい氷の花 8月に白い花が咲いていたが
枯れても 形をそのままに残し 今度は霧の粒で見事に変身
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エビの尻尾 此処にもあった まだまだ小さいけど
まだまだもっと大きくなる これから先が楽しみだ
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梵字の刻まれた慰霊碑 その向こうには久住山の北壁
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その場所から中岳を望む 坊ガツルの方からガスが湧いている
右手には白口岳 その向こうの大船山がガスに阻まれ見えない
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10時 御池の避難小屋で出会った登山者 今日はトレーニングで
リュックに余分な水を詰めて来たという 明日は25キロ歩くらしい
これから白口に向かうとのこと 若いだけあって元気も良い

その男性は小屋で休んでいたので そこで別れ
御池がハート型に見える場所で写真を撮り 先へ進む
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中岳と天狗ヶ城の分岐まで登り そこから中岳を見上げる
こっちは 先程見ていた斜面の裏側 霧氷がいっぱいだ
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向こうに見える岩の先には 長いツララがぶら下がっている
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この日見た霧氷の中で 此処の霧氷が一番大きかった
霧氷は風上に向かって成長していくというから面白い
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中岳に登頂したのが10時20分頃 登山口から約3時間
今日は久しぶりの登山でもあったので ゆっくり登ってきた

何時の間にやら 周囲の山にガスが掛って来た
先程避難小屋で出会った青年も登ってきて 軽く挨拶して
ガスの濃い東側の斜面を駆け降りて行った
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此処に登って来る途中 手袋の片方を落としたらしい
そう遠くない場所だとは分かったが 登りと同じルートを下る

直ぐに手袋は見つかった 手袋をして立止っていると
下の方から何やら鳥の囀りがどんどん近付いて来る
そう思った次の瞬間 小鳥の群れが眼下に現れた
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ものすごい数の小鳥 これはツグミ? それともムクドリ? 何だろう?
ひとしきり通り過ぎたかと思ったら Uターンしたようで こっちに向かってきた
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目の前を 通り過ぎる鳥たち 自分に気づくのが遅く
目の前近くで羽を大きく広げ方向転換しようとするものまで居た
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10時45分頃 天狗ヶ城に到着
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天狗の北壁 此処も奇麗に霧氷の華が咲いていた
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11時半 久住分れまで戻ってくると ガスが嘘の様に晴れてきた
さてここから来た道を戻るか 星生の方に向かうか…
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結局 星生の方に回ることにした 10分も掛らずにピークに到着
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11時40分 朝方 ゾウガメのようだと言ってた岩の上から
西の千里ヶ浜を見下ろすと カラフルな団体さんが歩いている
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その場所から 星生山へと続く岩稜を歩く
此処は難易度に合わせた幾つかのコースがあるが
やっぱり 最上部を歩くのが面白い
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稜線伝いに歩いていると またあの青年が追いついてきた
中岳を下ったところでガスが濃くなったので引き返したという

彼に追い越され少し行く 星生山のすぐ手前の所で立止っていた
「ブロッケンが出そうだ」と言う 日も高く 見れないと思っていたが
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彼の言うように 鮮やかなブロッケンを見ることができた
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12時15分 星生山の頂に到着 意外にも人が多い
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またガスが濃くなってきた 彼曰く「頂に来るとガスが濃くなる」
確かにそうだ 中岳 天狗 そして 星生 その道中は晴れていても
頂に登ると ガスが立ち込める 今日はそんな日のようだ
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12時55分 扇ヶ鼻分岐まで下る 朝見た霧氷は既に溶けていた
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13時45分 牧ノ戸の上の展望台に到着 此処に着く少し手前から
太腿に違和感を感じ始めていた 久しぶりの登山に鈍った足が
悲鳴をあげはじめていた このままでは危険と判断し
此処で少しばかり休憩をとった そして駐車場へと向かった
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駐車場に戻ったのは14時になる寸前だった
今回は雪が無く 足元も良くなかったが 寒波はやってくる
今度はアイゼンを履いて 真っ白なくじゅう連山を満喫したい